Kill For A Dream

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Liam Gallagher Japan Tour 2018 at Budokan 感想

 

 

はたまた長期間も放置してしまった当ブログであるが、書き綴りたい気持ちをどうしても抑え切れなくなったので投稿したい。

1月のギグの感想以来、新譜のレビューやその他のギグの感想の下書きを書いては消すのを幾度なく繰り返してしまい(僕自身の忙しさも勿論あったが)、結局今まで更新せずに居たがこの記事が無事投稿出来る事を切に願いながら書いていく事にする。

 

 

昨今のブリティッシュロック界においてこの男を抜きにしては語れないフロントマン、Liam Gallagherの来日公演に行ってきた。

昨年の下半期からこの男の飛ぶ鳥を落とす勢いでロックシーンにカムバックしてきたのは洋ロックリスナーの方々ならとっくにご存知だろう。Beady Eyeの解散後、Liamは兄であるNoel Gallagherのソロ活動の順調な活躍振りとは対照的に自身の私生活の崩壊などにより(こればかりは筋金入りの信者である僕でも擁護は出来ない、何であんなに綺麗な嫁さんと別れたんだよ...)段々と「あの人は今!?」状態となりつつあった。

SNSにおいても口を開けば兄貴の悪口を言うばかりで、僕自身もこの人が再びこの業界に返り咲くのはもうあり得ないのかもしれないな...と思い始め、ニュースサイトで隈無く最新情報をチェックするのをすっかり止めてしまっていた。

 

しかし昨年の上旬に自身がソロ活動を行うと発表し、6月に新曲『Wall of Glass』の公開、故郷にあるマンチェスター・アリーナで起きた悲劇のテロ事件を追悼するチャリティーイベント、「One Love Manchester」のゲスト出演での00年代初期の勢いを彷彿とさせたパフォーマンス、「Sonic Mania」や単独追加での来日公演など数多のライブを精力的にこなし、10月6日には1st Solo Album 『As You Were』をリリース。

 

 

『As You Were』について、僕は2017年における年間ベストに入る1枚だったと今でも思っている。作曲の多くを外部エンジニアに委託する方式にしたとは言え、終始曲がすこぶる素晴らしいのだ。

パンチの効いた数曲で攻めていくよりかは、アルバムトータルで聴かせる1枚であり、彼の飾らないかつふてぶてしいアティチュードが詰まった名作だろう。Beady Eye時代と比較すると然程変わらない内容ではあるが、Oasis時代から鳴らしていた今でも色褪せる事のないブリティッシュロックをベースにモダンさを取り入れた曲調で自身が思い描くロックはコレなんだと示した1枚であった。

 

 

 

話が逸れてしまったが、前回のBeady Eyeの横浜アリーナ公演以来から今回の来日公演まで僕はLiamのライブを体験していなかったため今回だけはどうしても行かねばならないと決意しアリーナ席で観る事に。武道館で観るのは恐らく兄Noelが2nd Albumのツアーでの来日公演以来だと思う。兄弟入れ替えで観る事になったのも何か因縁めいたものを感じる(僕だけに当てはまるケースなので何も意味をなさない)。

最近HR/HMに分類されるギグに観に行っているせいなのかまず人の多さに驚かされたが(Queens of The Stone Ageの単独公演でも同じ事を思ってました、すんません)、これだけの人気があるなら彼もまだまだ健在なんだなと改めて認識したのであった。

開演前ではアリーナ席自体はほぼほぼ埋まっていたものの、スタンド席はちらほら空席が見えたのでオイオイ...大丈夫かよ今回と不安になっていたが公演中に見渡すと結構の割合で埋まっていたので結果として成功した方のかなと。

セットリストは既にSNS及び専用サイトで記載されているので割愛。

 

 

 

 

Liam Gallagherはやはり唯一無二のヴォーカリストである。どれだけ月日が過ぎようとも彼の声は多くの人々を魅了するだけの力強さが備わっているのだ。

 

 

 

 

いやはや最高だった。肝心の喉の調子自体も近年においては比較的良かった方なのではと思う。

以前から思っていたのだが、Liamのパフォーマンスはフェスなどの野外ステージよりもライブハウスなどの屋内ステージであれば申し分無く発揮出来ているのではないかと。彼が機嫌良く伸び伸びと歌っている姿を観たのは随分と久しい(動画で観ている分も含めて)ような気がする。

バックの演奏陣のアンサンブルさよりもLiam本人の声を重視した音響設定だったのは正直意外であったが結果として成功したと言って良いだろう。楽器隊も昨年動画で観た際には微妙な感想を抱いていたのだがNoelのギターパートを卒なくこなしていたり、『Champagne Supernova』でのピアノパートではしっとりと弾いていたりと悪くはなかった。

セットリストの半数以上をOasis時代の曲で構成されていたのは少々やり過ぎなのでは...と思ってしまったがそれがむしろ功を奏したのかオーディエンスの歓声が止む事は殆ど無かった。アンコールで立て続けに披露したのも素晴らしい構成であった。

Oasis時代ので僕が最も感極まったのは最初のアンコールで『Supersonic』のドラムのイントロが聴こえた瞬間だろう。過去のセットリストを見ていくとそれなりに入っている曲ではあるが僕がOasisを初めて聴いた際にすぐさま聴き込んだ曲がこの曲であり、多くの人が熱狂したであろう名曲『Some Might Say』、最近では頻繁に披露されているがLiam自身が歌うのは実に20数年振りである『Whatever』、『Champagne Supernova』、『Live Forever』、シンガロングが起きた『Wonderwall』よりも待ち望んでいた瞬間だった。

僕は聴いてる中で兄Noelがソロとして初めて来日した時にアコースティックver.で披露した場面を思い出していたが、あの時も弟の声で聴けたらなあと思っていたのだ。この瞬間に立ち会うのを何度待ち望んでいたか計り知れない。Oasis初期で見られたねちっこくも堂々たる声で歌い上げる姿を観て、あぁ...コレが聴きたかったんだよと感傷的になっていた。

Beady Eye期の『Soul Love』が聴けたのも嬉しい、本人はセールスが段々と落ちて行った事を気にしているのかもしれないが2枚とも良いレコードなのだから今後も2枚からセットリストに多く取り入れるべきだし、その方がより良い構成になる筈だ。

 

『As You Were』では聴きたかった『Come Back to Me』や『I Get By』、『When I've In Need』が披露されなかったのは残念であったが、個人的にハイライトチューンである『Greedy Soul』や『You Better Run』が聴けたのが良かった。やはりLiamの声に最も相応しいのはパワフルなロックナンバーだろう。『Wall of Glass』は彼のソロ活動の幕開けとなった1曲であるし、ブリティッシュロック特有である湿り気がありつつも哀愁あるギターロックサウンドを身に纏いながらガツンと歌うシーンをこの目で確かめる事が出来たのは本当に嬉しかった。『I've All I Need』、『For What It's Worth』については言わずもがなであった。

 

 

2度のアンコールを含め、約70分弱のショーで彼らは舞台から姿を消し会場の照明が付いたのでこれで終演かと思いきやまさかの3度目のアンコールで3rdのアルバムタイトルである『Be Here Now』が。予めセットリストに組まれていたのかサプライズなのかは定かではないが(最後のMCでまだ終わっていないと言っていたらしく恐らく前者だろうが)そそくさと退場していたオーディエンスが慌てふためく自体に。

20年前にOasisとしてこの会場で演奏した事を踏まえた上での演出なのではないかと思う、中盤のMCでそれらしき事を喋っていた気がする。タイトル通り、Liamという人間がここにロックシンガーとして再び立っている事を実感させるラストであった。

 

 

 

 

今回のセットリストの反響やこの公演後を機にOasisのリユニオンを熱望する声が数多く見掛けるようになったが、僕はそれが必ずしも正しいとは限らないと思う。

勿論Gallagher兄弟2人がバンドとして再びロックシーンに戻ってくる事を僕も望んではいるし最終的にそうなれば良いと思ってはいるが、NoelだけでなくLiam自身もまた1人で歌う事を選んだのだし結果としてそれが成功した現在をまずは祝福したいのだ。また、Oasis時代やBeady Eye時代だけでなく、この『As You Were』においても同様に素晴らしいレコードである事を今回の公演を通して再認識したし、これからも声を大にして伝えていきたい。

 

 

 

 

 

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