凍える様な寒さも影を潜め、今やすっかり春日和が続いている。
多くの人が新たな環境に身を震わせている中、僕自身もまた陰鬱な気持ちで新生活を迎えている。
しかしどんな環境に変化しようとも変わらず有り続けるのはやはり音楽なのではないだろうか。
レビューとは大袈裟に言わないまでも最初に語りたいのはこのアルバムだ。
昨今解散してもはや活動再開の目処すら立たないバンドであるが、数十年前には世に多く浸透したグループと言えよう。
ブリティッシュ・ロックの代名詞的存在となったOasis。
数多の毒舌発言でメディアを騒がせたギャラガー兄弟率いるバンドという肩書はもう説明しなくても大丈夫だろう。
僕が中学時代の頃当時バンドをやっていた兄から誕生日プレゼントとして貰ったのがこのアルバムである。
考えてみれば、僕にとってこのアルバムは洋楽というジャンルを開ける扉のドアノブであったに違いない。
初聴時はなんか辛気臭いサウンドだなあ...と思ってそれ程聴き込んではいなかったが、高校に進学してからふとした時に聴いてみた瞬間鳥肌が立ったのを覚えている。
まず何と言っても目を引くのはメロディーセンスが素晴らしい点である。
これを披露しているのは実質的リーダーであったNoel Gallagherによるもので、メディアからは現代屈指のメロディーメーカーと評されている。
ソロ作第二部を出した現在でもあながち間違いではないかなと僕は思っている。
このアルバムを端的に言ってしまえば、古き良きブリティッシュロックの90年代的サウンドと言えてしまうのだがそれでも単なる焼き直しに聴こえないぐらいセンスが光っている。
Noelの弟であるVo.Liamの声も1stよりかは大人びた声になっており、より深みを味合わせる要因となっている。(この時期まではLiveでの声も最高であった...。)
個人的に好きなところは曲順の良さである。
#1 Helloから#4 Don't Look Back In Angerまでの流れはとにかく素晴らしい。
#1 Helloはハマった時はこれしか聴かなかった位好きである。liveでも演奏したら盛り上がるのを映像でよく見かける。Gary Glitterの某曲を引用したのは良いセンス。
#3 Wonderwallは本国の英国人が好きと言ってやまないシングルトラック。他のアーティストがフェスでcoverすると必ずシンガロングが起きるのが何とも。個人的にはNoelのcoverの方がよりセンセーショナルな気分になれるので好きだ。
#4 Don't Look Back In Angerはこのバンドの代表曲と言っても過言ではないだろう。NoelとLiamがこの曲をどちらかが歌うかで喧嘩になったエピソードは微笑ましい。John LennonのImagineを引用してるのは彼なりのリスペクトを表しているのかもしれない。高校時代はこれに勝るバラード曲は無いと思っていた(今となっては黒歴史でしか無い...)。
#3から#4までバラード続きになるのだがそれも退屈にはならないのが彼の作曲能力の高さたる所以と言ったところか。
#5 Hey Now!から#10 She's Electricまでは緩急の付いた流れとなっている。
シングルトラックである#7 Some Might Sayよりかは僕はShe's Electricをシングルにしても良かったのでは...?と思うがまぁ歌詞がアレなのでボツなのかなと。
#11 Morning Gloryから#13 Champagne Supernovaまでの流れは流石としか言い様がない。
#11のアップテンポで盛り上がった後#12 (Untitled) で少し落ち着かせ、#13で盛大に最後を締めるのはこれこそがOasisの真骨頂では無いだろうか。
信者並の感想を書いてしまったが、洋楽を聴いて数年経った今でも僕にとっては好きなアルバムの中で上位に入るだろう。
まだOasisを知らない人達にこそこのアルバムを聴いて欲しい。